「あなたの不安はどこから?」
サムエル上16:1~13
]使徒言行録8:9~25
伝道者フィリポが訪れた町には、魔術を使ってサマリアの人々を驚かせ、偉大な人物と自称していたシモンという人物がいました。彼は使徒ペトロとヨハネが人々に聖霊を授けている力に驚き、「わたしにもその力を授けてください」とお金を差し出してまで頼みます。しかし、シモンが欲しかったのは、聖霊を授ける力でなく、「人から認められる」ことによって得られる平安でした。
そのようにして得られる平安は一時のものにすぎません。むしろ不安を助長するものとなっていきます。また、人の承認を得るために行動することは、「理想像への執着」にもつながりかねません。自分の能力や適性を無視して、何としても「理想の自分」になろうとするのです。しかし、そのような人は絶えず人の評価を気にして生きてしまいます。そして、現実の自分の人生に満足することが出来ないままで、不安を抱えて一生を終えてしまうのです。
私たちは自分が自分であるということを受け入れているでしょうか。ひょっとしたら、「自分の考える理想の自分にならなければ愛されない」という錯覚の中で、不安を持って生きてしまっていることはないでしょうか。しかし、私たちは自分の能力が人と比べてどうであろうと、この世で唯一の自分を喜ぶべきです。
それには、イエス・キリストの十字架の上での贖いによって、神が私たちを神の子として承認して下さっていることを信じることが大切です。自分がどんな人間であろうと、神の子として認められ、愛されていることが私たちの価値なのです。その価値に生きるときに、本当の平安が与えられていきます。
牧師 : 宮本幸男