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説教要旨21/11/14「危機の中をどう歩むか」

創世記5:21~27

ヘブライ書11:1~7

「危機の中をどう歩むか」

 

 へブライ書には、神に認められた信仰者たちの名前が挙げられている。その中でも、エノクの「神と共に歩む」信仰を神は喜ばれていた。それが理由で、エノクは死を経験しないように天に移されている。その信仰は「神がエノクと共に歩んだ」のではなく、「エノクが神と共に歩んだ」という積極的な信仰であった。

 

しかしエノクは最初からそのような歩みをしていたのではなかった。彼が65歳のとき、息子メトシェラの誕生が転機となった。メトシェラの名前には「死後に送られる」という意味がある。その名前は、メトシェラが死んだ年に送られたノアの時代の大洪水を示している。そのような名前を息子に付けたエノクは、大洪水によってこの世界が全く新しくされることについての啓示を受けていたのであろうか。それがエノクを積極的な信仰に至らせた理由なのかもしれない。

 

また息子メトシェラは969年間生きた。彼は聖書に登場する人物の中で、最も長く生きたことになる。そこから神が969年の間、忍耐に忍耐を重ねて、さばきを引き伸ばされていたことが想像できる。欲望のおもむくままに生きていた人間が、御自分に近づくことを期待して待っておられたのであろう。

 

今の危機の時代、私たちにもエノクのような信仰が求められているのではないだろうか。そうであるならば、私たちも忍耐して待っておられる神に応答しなければならない。エノクがどのように神と共に歩んだかは、聖書には具体的に記されていない。しかし福音書に記されているイエスの歩みが、それを教えてくれている。イエスは常に祈りの中で神の御心をたずね、実行する歩みをされた。あの姿こそが「私たちが神と共に歩む」ということなのであろう。

 

この香櫨園教会はかつて大地震による危機的な試練に会った。そのとき教会は『この会堂の復興は私がする』とのイエスの言葉を、古河治先生を通して聞くことができた。そして、その見えない事実を確信し、イエスを求めて歩むことによって、その約束を受け取ることができたのであった。

 

それで終わらず、今もイエスは一人ひとりに語り続け、この教会をさらなる高みへと引き上げようとしておられることであろう。日々聖書を読み、祈り、黙想をする中で、イエスを信じてつながっているならば、誰でもその言葉を聞くことができる。それは限りない愛をもって、常に私たちに語られている。

しかし、か細く聞き取りにくい言葉でもある。イエスは私たちが完全完璧でないことをよくご存じである。ゆえに安心して、できるところ・分かったところから少しずつ歩み始めればよいのである。

宮本幸男

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